江戸結桶

桶栄
川又 栄風

江戸結桶

1963年生まれ、江東区優秀技能者表彰受賞。
明治20年に、初代、新右ェ門が深川に開業したのが始まり。二代栄吉によって屋号を「桶栄」とした。三代栄一は、江東区無形文化財に指定される。古くより、皇室、宮内庁の御用をはじめ、富岡八幡宮、寛永寺、回向院等の儀式用桶製作、作品奉納を勤める。

120年余りの歴史を持つ、形の美しさと実用性を誇る江戸結桶司「桶栄」。 機械を一切使わない伝統工法の桶は、日本はもとより、海外でも注目される工芸となりつつある。日本の素材の良さや桶栄に伝わる伝統工法の確かな技術に加えて、現代の生活様式にあった「かたち」を生み出すことで、次の時代へ物作りの文化を伝えている。無駄なものをそぎ落とし、使われることを意識した「実用の美」、自然素材ならではのやわらかさや香を生かす「素材の美」。一点一点、丁寧に作ることはもとより、オーダーメイドや修理のアフターケアまで、桶栄の物作りの姿勢はこれからも変わらない。

素材に使用されているサワラの良質な木質は、桶に最適と言われている。水をよく吸い、しかも通気性があるため水に強く、外側に水が結露せず断熱効果があることにより、永く使うことができる。微妙な木の性格を見ぬき、原木を切るところから仕上げまで全て納得のいく工程を刻み込んでひとつの桶ができあがる。形の美しさだけでなく、数十年の使用に耐える実用性を兼ね備え、塗装をかけない“みがき仕上げ”によって木目の美しさ、木の素地の味わいを生かす。箍(タガ)としては、一般に使われている銅の他、栄風氏オリジナルの洋銀を使用。これは、亜鉛・ニッケル・銅の合銀で溶接が難しいが、堅く弛みにくく、変色しにくい等の特徴がある。