つげ櫛

よのや
齋藤 悠

つげ櫛

亨保二年に本郷(現文京区)切り通しにて創業。大正初期に現在の浅草に開業し今日に至る。

よのやのつげ櫛の黄楊(つげ)は、国産の薩摩黄楊。
素材の産地である鹿児島県指宿市周辺は、気候の特質により成長が遅く年輪の幅が狭くなるため、時間をかけてきめ細やかなつげ櫛の素材となる。そして、その櫛の歯は均質で非常に弾力に富んで櫛通りも滑らかになる。地肌に柔らかく静電気を発生しないという黄楊ならではの特色が認められ、一般の櫛だけにとどまらず、綴織の爪織りに使う櫛や、京人形の結髪用の櫛など職人専用の道具としても今でも幅広く用いられている。椿油で手入れをしながら長年使用していると、櫛は徐々にきれいなあめ色になっていき、美しい光沢が出る。よのやでは、出来上がった櫛を香油で仕上げる。